易経(えきけい)、または周易(しゅうえき)は、中国最古の占術哲学書であり、「変化(易)の書」として5000年以上の歴史を持ちます。陰(‐‐)と陽(—)の2種類の爻(こう)を6本重ねた「卦(け)」は全部で64種類あり、それぞれの卦が宇宙・自然・人間社会の状況・変化・対処法を象徴的に示しています。古代中国では亀の甲羅や牛の骨を焼いてひびの形から占う「甲骨占い」が原型とされており、周王朝(紀元前1046~256年頃)に現在の形に体系化されたとされています。
易経の歴史と哲学的背景
易経(周易)は、中国最古の古典のひとつとされ、その起源は約3000年前の周王朝にまで遡ります。伝説では、伏羲(ふっき)が自然界の法則を観察して八卦を考案し、周の文王がそれを64卦に発展させたとされています。単なる占いの書としてだけでなく、「四書五経」のひとつとして儒教の重要な経典にも数えられ、孔子も晩年に易経を深く学んだと伝えられています。
易経の根底にあるのは「陰陽思想」です。万物は陰(受動的・静的な性質)と陽(能動的・動的な性質)の相互作用によって変化し続けるという考え方で、この陰陽の組み合わせが「卦(か)」という記号体系として表現されます。
陰陽と八卦の基本
易経の基本単位は、陰(‐‐)と陽(—)を3本組み合わせた「八卦(はっか)」です。8つの基本図形それぞれが自然界の要素を象徴します。
| 八卦 | 読み | 象徴 | 意味 |
|---|---|---|---|
| ☰ | 乾(けん) | 天 | 創造力・リーダーシップ |
| ☱ | 兌(だ) | 沢 | 喜び・コミュニケーション |
| ☲ | 離(り) | 火 | 知性・情熱 |
| ☳ | 震(しん) | 雷 | 行動力・衝撃 |
| ☴ | 巽(そん) | 風 | 浸透・柔軟性 |
| ☵ | 坎(かん) | 水 | 困難・深い知恵 |
| ☶ | 艮(ごん) | 山 | 静止・安定 |
| ☷ | 坤(こん) | 地 | 受容・母性 |
64卦の構成
8つの八卦を上下に2つずつ組み合わせることで、8×8=64通りの「卦(か)」が生まれます。それぞれの卦には固有の意味・物語があり、現在の状況や今後の変化の方向性を象徴しています。占いの際は、この64卦の中から得られた卦を、さらに「爻(こう)」と呼ばれる6本の線それぞれの意味を読み解くことで、より詳細なメッセージを導き出します。
占い方(卜占の方法)
易経で卦を立てる方法にはいくつかありますが、代表的なものを紹介します。
筮竹(ぜいちく)
最も伝統的な方法。50本の細い竹の棒を用いた複雑な手順で卦を導き出します。習得には時間がかかりますが、最も本格的な方法とされています。
擲銭法(てきせんほう)
3枚のコインを6回投げ、表裏の組み合わせから爻を決めていく方法。筮竹より簡便で、現代では最もよく使われる占い方です。
略筮法
筮竹を簡略化した方法で、初心者でも比較的取り組みやすいとされています。